第2章 往昔
「きっとの事好きだよ」
『……えっ』
急に花灯から、姫城が自分の事が好きだと言われて驚いたがそんなこと無いだろうと否定した。
『そ、そんな事ないよ』
「でも今まで何度かの事、気にかけてたよ」
言われて見れば、思い当たる節がある。
話すのは数回だったが会話をするきっかけは、全て彼だった。
彼から話しかけてきていたが、週番が一緒だった時は挙動不審な動きをしていた。
姫城の事を思い浮かべる。無意識に視線が上がり、双眸が左右に揺れ動く。
思い浮かべていると花灯が「ごめんね、急に変なこと言って」と口にした。
慌てては首を横に振って『全然大丈夫だよ』と言って視線を下げた。
『よく分からない』
好きとか恋とかよく分からなくて、まだ好きな人ができたことが無い。
小さく呟いたの事を花灯はじっとを見つめる。
見つめたあと、 花灯は出されたカップにそっと口をつけて、紅茶をズズっと一口飲んだ。
「今まで好きな人出来たことない?」
『うん……花灯ちゃんはどう?』
「私は好きな人出来たけど、付き合うまではいかなかったな。相手は友達としか見れないとか言って」
そう言うと花灯が「あ…」と声を出した。
「ごめん、そろそろ帰るね! まだ安静にしてた方がいいから」
もう体の調子は良くなっているから心配しなくていいのに、と心の中で思う。
何か言う前にもう彼女は帰る準備をし始めていて、声をかけれなくなった。