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【R18】遥かな愛

第1章 始まり



ある日の日曜日。


休日だからと言ってテレビ番組に見入ってしまって、動くのが遅くなっていた。


もっと早くお皿洗い始めれば良かったと少し後悔。


時計を見ると針は22時25分をさしていた。


そろそろお風呂入ろうかなと、自分のお皿を洗うのをやめて蛇口を閉めた。


ガチャ、とドアが開く音がして誰かが帰ってきたんだと気づいた。


お母さんだと少し期待したけど、違った。


帰ってきたのは、お母さんの恋人だった。


私の本当のお父さんは私が小さい頃に亡くなっている。
落ち込んで寂しそうにしていたお母さんに恋人ができて、明るくなった姿に私は安心している。


新しいお父さんになるかもしれない彼の名前は樹戸友紀(きどゆうき)さん。歳は30くらい。


樹戸さんは塾の先生で帰ってくるのが遅い。


お母さんとは付き合って結構経っているらしいけど、まだ結婚していない。



「ただいま」

『おかえりなさい』



動かしていた手を止めて、樹戸さんの方に向かう。


『あれ……』


私はあることに気づいた。樹戸さんはタオルで何かを抱えている。


にゃー…とか細い声が聞こえる。


『猫?』


樹戸さんが抱えていたのは猫だった。子猫でとても小さい。



「そう。道端に【拾ってください】ってね。」

『へえ……』

「あまり興味ない?」



その言葉に軽く頷く。


『猫は…少し苦手で……』


猫はたしかに可愛いけど、いい思い出はない。


思い出すのは、私が泣いている姿。



「八重さんはまだ帰ってきていないのかい?」

『はい…』



八重は私のお母さんの名前。


仕事が忙しいのかお母さんは最近帰って来ない。


『お母さんから、連絡とか来てませんか?』


なにかお母さんから聞いていたり、連絡が来ていたりしていないか聞いてみた。


全然帰ってこないから心配。それに、樹戸さんと2人きりとか気まずい。


だから早く帰ってきてほしい。




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