第3章 酔った勢い
『おい…天晶…お前さ…昨日の記憶ねェのか?』
『ないわ…あったらあるって言うだろ。』
藤の家紋の家の縁側で煙管を吹かしながら桜雪は実弥の質問に答える。
その姿は妙に妖艶に見えて…実弥はドキッとしていた。
『見つめんな…視線がうぜぇ…』
下を向きながら言う桜雪。
髪を下ろしている為、顔は見えないが長い髪から覗く耳が真っ赤になっているのが見えた。
『見てねェよ…誰がお前なんて見るかよ…』
『そうかよ。それになぁ?お前さ、せめてさん付けくらいしないわけ?生意気なんだよお前…』
『お前みてェな女にんなもん付ける必要ねェだろ』
『はぁ?舐めてんのか?』
桜雪は懐から出した煙管袋から小さな箱を取り出してその箱を開けて煙管の灰を箱の中に落として、また煙管袋にしまって懐にいれた。
『そりゃァ…胸に手が当たったくらいであんな反応するくらいだからなァ?』
『うるせえっ!!』
『お前…顔真っ赤だぞォ?』
実弥は桜雪にいわゆる、壁ドンをしている。
『うるせえわっ!!っぁ…』
実弥を殴ろうとした手を実弥に掴まれ腰に手を当てられると桜雪は小さく声を漏らした。
『なんで…そんな反応してんだァ?』
『黙れっ!!あたしに触んなっ!!っぁはんぅん…』
腰を実弥に撫でられて桜雪は艶めかしい声が出てしまった。