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貴方の色に染めて[鬼滅]

第23章 藤の華に揺れる〜❶〜


パサリと襦袢か落ちる音とガラっと扉の開く音が重なった。
振り向くと杏寿郎様と目が合い固まっていた。

『っ!きゃあ!!』
バッと前を隠して背を向け蹲る、ハッとして直ぐにまた向き合い襦袢で前を隠しながら

『すまない!籠に忘れ物をしたのを思い出して取りに来ただけなんだ、覗きでは無いからな!本当だ!』

真っ赤にして焦る杏寿郎を見て本当なのだと思う。

『そうでしたか、どうぞ、御入りください。』

バクバクと心臓が五月蝿い、着物の擦れる音床の軋む音が大きく感じた

『す、すまない、見ないように務めるので!』

『はい、ありがとうございます。』

何故か見つめ合う事になっている。

『…憂何故正面を向いているのだ、普通背を向けないか?』

その問いかけと、先の問いかけの答えを今言ってしまおうと決心した。

『あ…杏寿郎様、先程は失礼しました。私には叶えられぬと言った理由があるのです。それがこれです。』

綺麗な背中には大きな3本のキズがあった。

『っ、これは、』

『小さな頃に鬼に引っ掻かれたキズなのですが、成長と共に消えると思って居たのですが全く消えず。故にキズモノ扱いなんです。私を好いてくれる殿方は居ないのです。いくら顔が良くて持て囃されても。結局は関係無いんですよ。…だから私はこの先も祖父母と此処を守って行きますね、』

顔は見え無かったが、悲しそうな声にこれまで辛い思いをして来たのだと言う事が分かった。
そっと傷跡に触れるとビクッと身体が動くのを可愛らしく思ってしまう、

『ひゃっ///れ、煉獄様何をっ、んっ、』

『名前で呼んではくれないのか?もう忘れてしまったのか?』

『っ、杏寿郎様っ、恥ずかしいので、御辞め下さい。』

『憂は、綺麗だ。君を外見だけで近づいてくる様な奴は、碌な奴ではないな。』

『そう言っていただけるのなら、私も幸せですね、、杏寿郎様、私そろそろお風呂に入りたいので、失礼してもいいですか?』

困った様に振り向き笑う横顔に、どきりとしてしまった。

『すまなかった!忘れ物もあったので行くとする。…憂、おやすみ。』

『はい、杏寿郎様もお休みなさい。』


何とも不思議な1日だった。
初めて会った人に事情を話した事も、傷を見せた事も、きっと彼にだから見せられたのだろう。
甘くて苦い恋心。


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