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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第10章 初任務 那田蜘蛛山


そこからは一方的な暴力だった。
愛と伊之助はズタボロだった。
受け身を取ることもままならず、木や地面に叩きつけられた。

『…っぐぅ!』
これほどにも、太刀打ちできないなんて。
十二鬼月ですらない鬼に…。
歯が立たない。
弱い。わたしは、弱い。

地面に這いつくばって、次の攻撃がないことを不思議に思い、顔を上げると
伊之助が首根っこを掴まれ、今にも捻り潰されそうなところだった。
伊之助は最後の力を振り絞り、鬼の首に斬り込む。

『あぁ…ダメ…や、めてぇぇ!』
愛は刀を構え、最後の力を振り絞る。

『全集中! 炎の呼吸 参の型 気炎万象』
愛はその辺にあった大きな石から大きく跳躍し、全体重を刀に込めた。
硬くなった皮膚を砕くには、己以上の力を掛けなければ斬れないと思ったからだ。

『ああああああっ!!』
伊之助を掴んでいる腕に思い切り刀を叩き込んだ。

鬼の腕に刺さる。
まだ、力が足りない。
愛はもっと力を込めた。
硬い、とても硬いが、何とか下まで振り切って、腕を斬り落とした。

ギャウ!

伊之助はボトッと落ちる。
愛も全力を出し切り、その場に崩れ落ちた。

そのとき、二人は見た。

「水の呼吸 肆の型 打ち潮」
あんなに硬かった鬼が豆腐みたいに斬られた。
圧倒的な強さだった。
計れないほどの強さの溝がそこにはあった。
果てしなく遠い。

「俺と戦え!半半羽織!!」
伊之助が義勇に向かってギャーギャーと噛み付いている。
義勇はそんなことを気にしない風に伊之助を縛り上げた。
まだ何か伊之助は暴れ続けている。

「立てるか?」
義勇に手を出されて、自分の体が地面に這いつくばっていることに気付いた。

『あ、すいません…。あ、りがとうございます』
立てるには立てたが、出血で頭がふらふらする。

『あ!あっちに十二鬼月がいます!炭治郎が応戦中です。案内します』
炭治郎が飛ばされた方を指差し、走り出そうとした。
しかし、足が縺れ、転ぶ!
と思ったが、その衝撃はなく、代わりに腰に温かい手が回されていた。

「己の怪我の態度がわならぬやつは戦に関わるな」
些か手厳しい正論であったが、愛の身を案じてのことだとわかる。
現に抱きとめてくれた腕は優しい。

『あ、はい…。すいません。よろしくお願いします』
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