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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第10章 初任務 那田蜘蛛山


『あ!待って!』
見たところ、伊之助は出血でふらふらしている。

呆気なく返り討ちにされ、追い回されている。
鬼の目がそちらに向いてしまったようだ。
どんどん伊之助を追って、森の中へと入ってしまった。
慌てて愛も追いかけるが、正直何も策はない。
二人で連携を取れば何とかなるかもしれないが、伊之助は耳も貸してくれない。

『炎の呼吸 伍の型 炎虎!』
遠距離ならこの型!と出してみたものの、やはりまだ付け焼き刃程度だった。
かすり傷をつけ、鬼の目をこちらに向ける程度にはなった。
まだまだ距離も威力も師範には程遠い。

『わたしが引きつけるから、伊之助は斬り込んで!』
そう言って、鬼を呼び寄せる。
『こっちよ!』

『隙を作るから!その刀二本で打ち込んで!』
脱皮されてしまうと厄介だ。
何とかこの形態のまま、首を斬りたい…。
できるかわからないけど…

『炎の呼吸 肆の型 盛炎のうねり!』
何とか型を使って、凌ぐのが精一杯だ。
型を連発したのか、少しよろけた。

あ、まずいっ!

鬼が大きな腕を振りかぶった。

「考える俺なんて、俺じゃねぇ!」
ギャイイン
という音がして、ザクンと鬼の腕が切れた。

「シャアア!斬れたぁ!!」

助かった…。
安心したのか腰を抜かし、尻を地面に付けた。

『ありがとう』
「ウハハハ!俺、最強!!」
腕を切られた鬼がなぜか一目散に逃げ出した。

あ、まずい。
これじゃ原作通りになっちゃう…
さっきわたしに腕切られても何ともなかったのに!

「あ!逃げるな!」
追いかける伊之助。

『追っちゃダメ!逃げなきゃ』

「だから、女の指図は受けねぇって!」

待って、本当にまずいの
でも、そのことを伝えても信じてもらえないだろう
わたしに力がないから
柱が助けに入って、伊之助が助かることはわかってる
けど…だからって放ってはおけない
助かるからってタカくくって、柱の到着を待つだけだなんて!
情けない!
わたしは、わたしにできることを!

立ち上がり、ダッと伊之助が走っていったほうへ向かう。

伊之助は鬼の前に立ち呆けていた。
形態が変わり、より強い鬼へと変貌したのである。

何、この威圧感
前に進めない

なぜかガクガクと膝が震え、刀を構えた手も震えている。
恐れの感覚だった。

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