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花火 ー呪術廻戦ー

第13章 再会


目を輝かせる釘崎に笑いながらOKを出せば、早速注文する彼女。
そして、戻ろうとした五条は、自分を見る視線に気づき、そちらへと顔を向けた。

「どうかした?悠仁」

「あー、先生、けっきょく、俺たちが廃ビルで見た人、見つかったの?」

どこか恐る恐る聞かれたそれに、五条は、先程雰囲気が変わった時とは打って変わり、何事もないかのように笑顔を見せた。

「ああ、見つけたよ。ありがとね、ずっと探してたんだ」

「探してた人なの?やっぱり高専の先輩?」

「いや、僕の同級生」

「…え?」

「それじゃ、3人ともたくさん食べるんだよー」


何か言いたげな生徒達を残し、瞬間移動で、再び自分のマンションへ戻る五条。歩きながら目を覆う布を外し、どこか急ぎ足で部屋へと入る。
ソファーから立ち上がり、こちらに背を向けている姿を目にして、知らず、安堵する。

消えていたら、と。不安を抱えていたのは事実で。
何かを抱えている彼女の背後に歩み寄り、上から覗き込めば、それは、昔彼女からもらったぬいぐるみだった。

「それさ、ずいぶん前から音でなくなっちゃったんだよねー」

音が出なくなったそれを、五条は一度夜蛾に見せたことがあった。何のことはない、使いすぎによる音声劣化。当時彼は意識していなかったが、なまえを失ってから、何度もその呪骸に呪力を流したのだ。ただ、彼女の声を聞きたかったから。
声を失った呪骸は、新しく音声を吹き込んでくれる人物がいないため、ひたすら沈黙をまもり続けていた。

五条がいることに気付いていなかった彼女は、危うくぬいぐるみを落としそうになりながらもソッと振り返って。五条の青い目を見返した。

「なんでこれ、ここに…」

「なんでって、なまえがくれたからでしょ。クリスマスに」

いくら歳を重ねたからとはいえ、なまえが自分を分かってくれないことは、とても面白くない。
伊地知や七海よりも若く見られるのにな、なんてここにいない2人に対して失礼なことを考える五条。

彼の言葉に、ポカンと口を開けたなまえは、一拍して。自分でも信じ切れていないことを隠そうともせず、惚けた顔のままで、口を動かした。
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