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花火 ー呪術廻戦ー

第13章 再会


思わず立ち上がって、近づく。
ライオンを象った、どこか可愛いとは言い難いそれ。その原因は、間違いなく歪んで縫い付けられた目にあって。


これって…


そっと、手を伸ばして持ち上げる。
少し、くたびれているが。間違いようもなく、それは、一年生の時のクリスマスに、プレゼント交換で五条の手に渡った、なまえが(目だけ)作製した、目覚まし機能の付いた呪骸だった。

なぜここにこれがあるのか。
試しに呪力を流してみようとして、呪力が空っぽだったことを思い出した。


「それさ、ずいぶん前から音でなくなっちゃったんだよねー」


背後から響いた声に、ドキリとして、手にしていたぬいぐるみを落としそうになった。危機一髪、落下を免れたそれを持ったまま振り返れば、先程出て行ったはずの彼が、覗き込む様に立っていた。

いつの間に戻ってきたのかと、驚きながらも、なまえは青い目を見返す様に、見開いた目を向けた。

「なんでこれ、ここに…」

「なんでって、なまえがくれたからでしょ。クリスマスに」

当たり前の様に、そう言われ。先程から、なまえの頭をチラチラとよぎっていた、一つの可能性が大きく顔をもたげた。
あまりにも似ている顔。なまえのことを知っている様子。そして、このぬいぐるみ。


「…え、………悟?」

「ピンポーン」


自分でも半信半疑で呟いた言葉に、正解の反応が返ってきて、呆然となまえは目の前の人物を改めて眺めて。

「…いや、いやいやいや、お兄さん悟と顔似てるからって、そんな冗談…」

「じゃあ試してみる?」

ん、と差し出された手の平。
その意図することが分かり、一瞬逡巡したものの、なまえも自分の手をそれに重ねようと差し出して。
触れる前に、手は止まった。否、知っている。これは止まったわけではなく。限りなく、遅くなっているのだ。

それは、間違いようもなく、この現代に使える人間はたった一人しかいない、無下限呪術だった。

「ね?」

かわいらしく首を傾げられて、釈然としないながらもなんとか頷く。
散らばる状況証拠は、目の前の人物を五条悟だと指しているが、なまえの記憶にある五条悟には、目の前の人物が中々結びつかない。

「…どうして老けてるの?」

「…やばい、そのムカつく感じ懐しすぎて泣きそう」
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