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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第5章 変化





美玖は、
少し落ち込んだように黙り込む。


杏寿郎はその様子を見て、

美玖の肩を抱き、



…そう、落ち込む事はない!
もしかしたら、
何かの間違いかもしれないだろう?

まだ、鬼を連れていると決まった訳でもない!



…そう、ですね!
うん、私の勘違いかもしれません!

そう、それで、
その炭治郎って子がー…


そのまま、
その時にあった事、

イノシシのような男の話など、


とにかく杏寿郎にひたすら話す。


会えなかった時間を
埋めようとしていたのかもしれない。



杏寿郎は、
その鬼を連れているかもしれない
隊士が気になっていたのだが、

美玖があまりにも嬉しそうに話すので、
深く追求するのはやめる事にした。



何かあれば、
いずれは明るみになろう。


そう思って。



煉獄家には、
日暮れ頃に到着した。


門の前で、千寿郎が待っている。


声をかけると、
杏寿郎そっくりだが、

まだ幼さの残る可愛い顔で
お帰りなさいませ、兄上、美玖さん!

と、出迎えてくれた。


あぁ、帰ってきたんだなあ〜


蝶屋敷も
楽しかったけど、

やっぱり我が家はいいなあ〜


と改めて実感する。


というのも、
美玖には実家がない。

8つくらいの頃から、
煉獄家で暮らしていた。


昔、まだ幼い頃、

鬼が出て家族を失い、

帰る家もなくなってしまった。


その為、煉獄家は自宅も同然の感覚だった。


当時、炎柱であった、
先代の煉獄槇寿郎が鬼を滅し、

一人残された美玖を
屋敷へと連れ帰ってくれたのだ。



ふと、昔の家族の事を思い出す…。

でも、幼かった為、
親たちの記憶はまだらで不確かだ…。


それよりも、
かれこれ7年以上過ごしている
煉獄家での日常の方がしっくりとくる。


ふふっ
と一つ笑みを零して


千寿郎くん、ただいま!!


と、元気に声をかけた。



その声は
屋敷の中に篭っている、

槇寿郎の耳にも届いていた。



…帰った…か。


槇寿郎は、
一人、部屋の中で呟き、

何かを考えているようだった。









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