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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第5章 消息盈虚




「睦ちゃん、
こっちはもう大丈夫だから、さっき作ったおにぎり、積んどいてもらっていいかしら」

「はーい」

おばちゃんの指示に従う。
今日はこっちのお店のお手伝い。
朝から忙しくしているせいで
余計な事を考えずにすんだ。
私のお店の休みを狙って、おばちゃんから
要請があったのだ。

「睦ちゃん、
ずいぶん手際がよくなったなぁ」

おじちゃんが感心してくれる。

「ありがとう。2人のおかげだねぇ」

私は言われた通り、おにぎりを商品棚の
トレイに積み上げながら言う。

「ふふ、そんなふうに言えるようになったの」

子どもの成長を喜ぶように笑うおばちゃんに

「別に点数稼ぎなんかじゃないからね?」

慌てて伝えた。
だって本当にそう思うんだ。
今の私があるのは、
この2人のおかげ以外ありえない。

「本当に感謝しかないよ…」

私が独り言のように口に出すと


「あんまりしんみりさせるなよ」

おじちゃんが困ったように笑った。
その一言で、何故か可笑しくなり
みんなで大笑いしたのだった。





夕方、例外なく忙しくした後、閉店の時間を迎え、
ごはんもいただいていく事になった。
お店の売れ残り、なんてもの、あるわけもなく…

「私、この肉じゃが大好き!」

「そうかそうか、腹いっぱい食べな」

「そうよ、おかわりあるからね!」

この人たちと一緒にいると、
私はほんとにたくさん食べてしまう。
幸せな気持ちでいっぱいになる。
私が夢中で頬張っていると、

「睦、こうやっていつでもおいでな」

おじちゃんが優しく言った。
2人が、こちらを見ていた。

「…ん?」

私は手を止める。
ごくんと飲み込むと、

「…何?」

と、訊いてみる。

「遠慮しないで、いつでもおいで。
手伝いなんていい。ただ遊びに…
顔を見せに来るだけでもいいんだよ」

「おじちゃん…」

おばちゃんを見ると、
にっこり笑って頷いてくれた。

あぁ、そういう事だったんだ。
…そうだったのか。
私、みんなに心配される程、そんなに
弱っていたのかなぁ。そんなに…。

「あらあら、ホラ、これ使って」

おばちゃんが手拭いを渡してくれるから、
私は余計に泣いてしまう。




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