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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「こんなとこで寝たら、
この陽気でもさすがに風邪ひくぞ」

え…

「何で…」

「さっき帰った。
一旦、家寄って、汗流してから…。
…おい?」

会いたかった人が、目の前にいる。
ずっと会いたかった。
この1週間、とても不安だった。
大変だった。

「睦?」

たくさん、話したい事があったんだ。
でも、必死に押し殺してた。
考えないようにしてた。

「どう、した?」

1人でお母さんに会いに行ったことも、
おばちゃんが流行病にかかったことも、
おじちゃんの手伝いが私に務まるのかも、
本当はひどく怖くって、
それが全部、解決した今、
この人の顔なんか見たら、
今まで張り詰めていたものがいっぺんに緩んでしまって…

「宇髄さんんん…」

私はその人の胸に、勢いよく飛び込んでいた。
それを、何の迷いもなく抱きとめてくれる。
胸に顔を埋めて、声を上げて泣いてしまう私の頭に、
頬をすり付けて

「何だ、睦。泣くなよ」

優しい声で言う。
私は宇髄さんの背中に腕を回して、
彼の着物を両手に握り込む。

彼は私を身ぐるみ抱きしめてくれて、

「…そんなに、俺に会いたかった?」

憎らしいくらい余裕で訊いてくる。
でも、今の私には、気の利いた事は言えそうにない。
だって…

「会いたくて死んじゃうかと思ったよ」

顔を上げ、涙も拭わずそう訴えると、
驚いたように目を見開いたあと、
苦しそうな顔になったかと思うと、

「——俺もだ」

短く言って、
私の唇を奪った。










長い長い口づけのあと、
宇髄さんは、私にぴったりとくっついて、
同じように縁側に座る。
私は背中から抱きしめられるように
彼の足の間に座らされていて、
少し居心地が悪い。

宇髄さんと2人きりになるのが久しぶりで、
私はふりだしに戻ったようだ。
嬉しいのだが、無性に、照れる。

下を向いて縮こまっている私を、
不思議そうに覗き込むと、

「睦、どうした。
……照れてんのか」

「!」

図星をつかれ、
私はギクリと体を強張らせる。
言わなくとも気づかれた私は、逃げ場もなく、
せめて宇髄さんの視線から逃れるべく
顔を背けた。
抱く腕に、ぎゅっと力を込められて、
2人の体が密着する。





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