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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




本日の売り上げ好調。
在庫もまだ、たくさんあるし、
今日はちょっと寄り道しよう。

そうして向かったのは、
おじちゃんたちの店。
あの、おいしいごはん、
未だに毎日でも食べたいくらい。

私は鼻歌まじりで歩いていく。
たくさんの人とすれ違う。
夕方の風景は、昼間のそれとは大違いだ。
家路を急ぐ人や
夕飯の買い出しで、いっそう賑やかになる。

それなのに。
お店は、閉まっていた。
私は何だか、嫌な予感がして、
すぐさま裏手へと走った。

すると丁度、がらりと戸が開いて、
お医者様らしき人とおじちゃんが姿を現す。

「お大事にされて下さい」

「はい、ありがとうございました」

言いながらおじちゃんは私に目をやる。
お医者様は、私の横を通り過ぎて行った。

「お、睦ちゃん!」

「おじちゃん!何かあったの?」

焦るように私が訊くと、
困ったように、私の頭に手を乗せて、

「あぁ、…おばちゃんなぁ、
流行病にかかっちまって…」

と言ったのだ。

「流行…」

私は後頭部を、何か硬い物で
ガツンと殴られたような気がした。

「だ…大丈夫なの⁉︎」

「落ち着け落ち着け」

おじちゃんは努めて優しい声で
笑顔を作る。

「まぁ、中へお入り」

私を中へ促してくれる。
1階の表側はお店だが、裏側と2階が
お家になっているこの建物は、
私の実家みたいなものだ。

私は1階の居間に通された。
おばちゃんは2階で寝ているようだ。

「おばちゃんの様子は?」

「そうだなぁ…」

私にお茶を出してくれて、
おじちゃんは私の向かい側に座った。

「熱が高くてな。つらそうだ」

「そうなんだ…」

「何も食えねえし、
見てる方もつらいよな」

弱り切ったようなおじちゃんを見た私は、
ある考えを口にする。

「私、手伝う!」

おじちゃんは大きく目を見開いた。

「何言ってんだ。お前が無理しちゃダメだ」

「今は無理する時だよ。
おばちゃんの看病する。お店も手伝う」

「いや、お前には自分の店があるだろう?
ちゃんとそっちをやってかなきゃダメだ」

「少し休むくらい平気だよ!」

「平気じゃない!店やってくのは
そんな簡単じゃないんだぞ」

「わかってる!
でも、ここだって休んでるじゃない!」

「これはうちのヤツが倒れちまったからで…」

「私もここの家の子だよ!」

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