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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




上る時より、下りる方が足がつらい。
階段を下りるだけで、
だいぶ時間がかかってしまった。

一番下の段に腰をおろし、
左の足首をさする。
宇髄さんが、
今朝もう一度包帯を上手に巻き直してくれ、
大きな手であたためるように
さすってくれた事を思い出す。

無理に動かすなって言われたっけ…
…でも、どうしても今日来たかったんだ。
私はそのまま、空を見上げた。

青空をゆっくり渡る白い雲は、
一瞬ごとに形を変える。
ずっと同じと思っている物も、
少しずつ、変わっていくんだな…。
まるで、
私の心をうつしているようだった。

何にもしばられない1日。たまには、いいな。

そんな事を思いながら、
私はゆっくり立ち上がり、家路についた。










翌朝、
今日も今日とて、お仕事です。

この間、ほぼ完売した商品を、
連日、夜中までかかって作り上げ、
在庫を抱える程になった。
今日は安心してお店を開けられる。

お店が小さくて助かった。
大きなお店じゃ、
とてもじゃないがやっていけない。

一つずつ丁寧に陳列して行き、
店を開ける。
やわらかな空気と一緒に、
常連のお客さんたちが来てくれる。

私は恵まれている。

どこかで感じる空虚さをごまかすように
私は自分に、そう言い聞かす。
…どうせまた、ひょっこりやってくる。
それまで、意地でも今を、楽しむんだ。

そう思っていた私は、
まったく楽しめない出来事と遭遇する事になった。



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