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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




「こんな、…私が?」

何とか言葉を発すると、
びくりと肩を震わせ、私を見下ろす。

「睦の全部が好きだ」

目を細めて言う。

「睦、
俺を許してくれるか?」

「許す…?」

私が?

「許すも許さないも、私が言えた立場じゃない…」

許すか許さないかは、私が決めていい事じゃない。

「それは違う。俺とお前は対等だ。
俺の過ちを、許してくれ、睦」

対等…

「対等なんかじゃない。許す権利なんて、私にはない…」

「俺はお前と恋愛したい。
睦が何と言おうと、何と思おうと、
俺はお前に惚れてんだ。俺がお前を幸せにしたい」

この人はナニを言っているのだろう。

「私は幸せになんか…なれないって」

お母さんがそう言っていた。

「なれる。俺が幸せにしてやる。
約束だ。俺だけが睦を幸せにできる。
だから、…側にいてくれ。俺だけ見てくれ」

懇願するように、
誓うように、私の額に口付ける。
何で、私にここまで言ってくれるのか。
私のどこに、そこまでの価値があるのか。
全然わからない。
…だけど、

「どうやって、?」

私は訊いてみる。
宇髄さんは動きを止めた。

「宇髄さん、信じたい」

私なんかに、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくれるこの人を信じたい。
けど、信じるってなんだろう。
どうしたら、いいんだろう。

「睦が信じようとする必要はねぇよ。
自然にそうなるように、俺がするから」

「…どういう事?」

「俺だけ見てろって事だ」

そしてまた、ぎゅっと抱き込まれる。

「宇髄さんは、こんなふうになる私の事、嫌にならないの?」

「ならねぇな」

「何で?こんなの、自分でもどうかと思うよ」

「お前、もっと自分の事好きになってやんな?
睦は優しくていいヤツだぜ?」



「自分を好きに…」

「まぁ、その分俺が好きだから…、
愛してるからいい」

「……」

言われた事はいまいちわからないけれど、
私の震えは止まっていた。
私の心はこの人に乱される。

怒った後は
謝られ、なぐさめられた。
怖い思いをさせられたけれど、
上辺だけの言葉なんかじゃなくて、体現してくれる。




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