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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




いつもの商店街に戻ってきた時には、
もう夕方。一番賑わう時間だ。

私はたくさんの人を避け、
自分の店にたどり着くとカギを開けた。

両手いっぱいの荷物を抱え、
何とか扉を開けると、中へ入り
内側からカギをかけようと手を伸ばす。

しかしそれより一瞬早く扉が開かれ、
何者かが飛び込んでくる。

「うわっ‼︎」

私は驚いて何が起きたかわからなかった。

「な、に…」

落ち着いて見上げると、宇髄さん。
彼は後ろ手にカギをかけて、私を見下ろしている。

「何、ですか急に。
驚かさないで下さいよ」

そう言うのに、宇髄さんは無言。
心なしか苛立っているように見えた。

「どうかしたんですか?」

「どうもこうもねぇ。お前、今日どこにいた?」

「今日、は隣町まで買い付けに行ってました」

「買い付けねぇ」

宇髄さんは私から手荷物を取り上げると、
私を見据えたまま、カウンターに置いた。
冷たい目。
私は背筋がぞくりと冷えるのを感じた。
…嫌な、予感。

「お前が何をしようが勝手だ。わかってんだよ」

「はい…?」

どういう事?

「でも、お前が他の男といるのをへらへら見てらんねぇ」

「男…?」

宇髄さんは私ににじり寄って来る。
何を怒っているの?
私に怒っているように見えて、
…でも自身への怒りのような気もする。

「シラ切んのか」

「何を言ってるんですか。
荷物、見てくださいよ。小物の材料を…」

「俺が任務で……数日会わないうちに…」

「…え?」

宇髄さんは独り言のようにぶつぶつ言っている。
私は彼の言っている『男』について考えていた。

はっきり答えられない私に焦れたのだろう。
急に私の腕をつかんで、

「あいつは誰だ!」

と怒鳴った。
私はわけもわからないまま怒鳴られて、
ただ恐怖に震えた。

あ…、男って、さっきの店員さん?
どこかで見られていたのだろうか。
そう思い当たった私は、

「買い物を、した店の、人で、忘れ物を、届けて…
くれた、だけでっ…
私、何も…」

私の様子がおかしな事に気付いたのか、
宇髄さんは我に返ったようだった。

「また、私…悪い事を……?」

体が震えた。

「あ…睦…」



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