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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第9章 好敵手





まるでお兄さんが出来たよう。
私は一人っ子だったけど、
こんなお兄ちゃんがいたらいいのになぁ。

「…お前なんだかこの犬っころみてェだなァ…」

優しく頭を撫でてくれる。
…うわぁ、撫でられた。
硬くて大きな手。
なのに、とっても優しい…。
…私こんな手、知ってる気がする…。

「…犬ですかぁ?」

「あァ、自分のしたいように懐いてきてなァ?」

「んー…妹がいいなぁ」

おにぎりを頬張って何となく希望を述べる。

「不死川さん、お兄ちゃんになってほしいです」

「……」

私が言った途端に遠い目になった。
…地雷を踏んだ気がした。
でも言ったことは取り消せない。

「ごめんなさい。嫌でしたか…?」

「…いや」

俯いて、私の頭を撫でてくれる。
…何か。
この人も何かあったに違いなかった。
兄弟に関して、悲しい事が。
軽々しく口にした事を後悔した。

「…お前の好きにすりゃいいんじゃねェの」

ぽつりと言った。
ムリしてるかな…
…でも、イヤな事はイヤだと
はっきり言ってくれる人な気がした。
その人が、いいと言うのだから…。

「嬉しいです。私、兄弟いないので、
優しいお兄ちゃんって憧れでした。
不死川さんは…」

訊こうとして、やめた。
さっきのあの遠い目を思い出したから。
なのに、察しのいい不死川さんは、

「弟が1人いる」

律儀に答えてくれた。
それを聞いて、私は少しホッとした。

「そうなんですね、弟さんにも会ってみたいな」

「そいつはどうかな…」

淋しそうに言う。
……

「…私、両親いなくて、育ててくれた2人と
大切な人と、蜜璃ちゃんとあと3人のお友達が
支えなんです。不死川さんがいてくれたら
家族が増えたみたいで嬉しいな…」

素直に告げると、優しく微笑み、

「家族、ねェ…」

諦めたように言った。

「ほとんどの犬は俺に懐く。
お前も突き放した所で、
どうせくっついてくるんだろ?」

クッと、喉を鳴らす。

「……犬扱いじゃないですか」

私が睨むと、おかしそうに笑った。





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