第4章 幸せな日々よ永遠に
(act.01‐力になりたいの‐)
おはようございます、高津芹佳です、只今の時刻…7時30分。
今日は土曜で学校がお休みなので、朝から王子たちの部屋に行きます。
「……うーん、」
ちょっと早いけど、もう電話してもイイ時間帯だよね?
起きてるだろうし怒られたりしないよね、…いやでも、寝てたら怒られる?
「…あー、うー……よし。寝てたらその時はその時だ、潔く耐えよう」
ポケットから出したスマホを手に、電話帳から紗耶な名前をタップ、
プルルッ、と3コールが鳴った頃、通話になった。
【ーー…もしもし?】
「おっはよー、紗耶」
【…おはよう、芹佳】
…あ、まだだったようだ、8時にするべきだったね。
「…いつも早起きなのに珍しいね、寝てた?」
【…昨日ちょっと、ね。ってか、芹佳は元気そうね?】
「うん!超絶元気!…えーと、んじゃ、1時間後に紗耶のマンションの下で待ち合わせで!」
【…あー、芹佳の家まで行くわよ。アレ全部持って行くんでしょ?】
「大丈夫、紗耶の家までなら行ける」
【そう?じゃぁ、1時間後に下に逝くわ】
「…紗耶サン“いく”の漢字が違う気がするのは何故ですか?」
【気のせいよ。じゃ、また後でね】
「あ、うん」
電話を切った後、思い出すのは紗耶の隠し切れない苛立った声。
…あの感じだと、また夜遅くに帰って来ただろう親と揉めたかな。
前に少しだけ話してくれた紗耶の家庭は、家族仲がすこぶる悪い。
気に入らないとすぐに暴力を振るう父親、周りの評価ばかりを気にする母親、
そのせいか、今年小4になる弟は彼女が育てたようなものだった。