第4章 鍛錬と最終選別
一方、更紗が出ていった後の道場では……
「いやいや、そんな派手に落ち込むなら普通に言ったらよかったんじゃねぇの?」
杏寿郎は額を壁につけて酷く沈んでいた。
「いや、公私混同はよくない。更紗でなく他の弟子ならば、俺はあの言い方をしている。更紗可愛さに差をつけるのは違うだろう……」
更紗に呆れていたのではなく、師範としての厳しい言葉だったようだ。
「そうは言っても言った本人がこれじゃあ、目も当てられねぇって……」
天元は手を額に当てて本当に呆れているようだ。
「師範として間違った事はしてないが、更紗にあのような言葉遣いをするのは殊更辛い……が、更紗も泣き出さず食らいついてきた!俺が弱音を吐く訳にはいかん!」
勝手に落ち込んで勝手に立ち直る杏寿郎に、天元はすでに興味をなくし、
ほーん、そうですか
と返すだけとなった。
そこへ聞き慣れた声の聞きなれない口調の言葉が響いてきた。
『あぁーもう!!どうして上手く出来ないの?!教えていただいてるのに、自分だけ息切れして情けないです!』
その声を聞いて2人は一斉に吹き出した。