第5章 告白
~トレイver~
「悪いなかな、手伝いにわざわざハーツラビュルにまで来てもらって。」
「いいんですよ!ちょうど暇でしたし…お手伝いできてうれしいです。」
ハーツラビュルのキッチン、珍しいことに今日はトレイに呼ばれて来たのだ。今度のお茶会に出すためのスイーツの案を欲しいとのことだった。なつきに頼めばよかったのに、と言えば相変わらずエーデュースにべったりで頼めなかったそうだ。
「お礼に夕飯をご馳走しよう。何がいい?」
「え、いいんですか?ありがとうございます!じゃあお言葉に甘えて……日本食が食べたいです!!」
「えっと…確か日本食って前教えてくれたやつだよな?」
「そうですそうです!」
前にお茶会の時に日本のお菓子について話したことがあった。それも和菓子が大好きななつきのためでもあるんだが…それから日本食の話になったんだよね。お米とか焼き魚とか…
「よし、じゃあ作り方はこの間教えてくれたしな。かなは談話室にでも座って待っててくれ。」
「いやいや、私は作ってるところをみたいのでここにいます。」
「そうか?じゃあ疲れたら言ってくれよ。」
初めて作るのにさすがというほど手際がよい。お米を研ぎセットをして魚の下処理をしてお味噌汁に取り掛かる。お玉に味噌を入れてお鍋の中にいれ少しずつ溶かしていく。
「…!いいにおい…」
「さき、味見してくれないか?上手くできているか見てくれ。」
「いいですよ!」
小皿にお味噌汁を移し受け取る。匂いも嗅ぎなれているお味噌の匂いだし、懐かしさも感じる。少し冷まして飲んでみる。
「うん…美味しいっ!味噌がいい感じに溶けていて…これなら具材との相性もバッチリです!」
「お、そうかよかった。故郷の味に近づけているかな…」
「…はいっ!何か…懐かしくなってきちゃいました…」
トレイの優しさにジーン、と浸っていると、よしよし、と頭を撫でられた。