第17章 芽生え -恋と蛇-
急に気付いた感情だったが、驚くほどにすとんと胸に収まる。
「…白石?」
冨岡がこちらを向いている。
自分の思いに気付いたからと言って、伝えてどうしたいなんて分からない。掴んでいた羽織をパッと離した。
「ご、ごめんなさい!何でもないです…。」
「?」
冨岡は不思議そうな顔をしていた。
「…冨岡さん、私強くなります!守りたいと思う全てを守れるように!
なので、これからもご指導宜しくお願いします!」
「…? ああ。」
冨岡はまた屋敷に向かって歩きだした。その後ろをついていく。
私は強くなる。
すべての人々を、そして、愛しい人を守れるように。
彼を守るためなら、自分の全てを犠牲にしても構わない。