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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第17章 芽生え -恋と蛇-




2人が食事を続けていると、ガラガラと店の戸が開かれる。


「あら?美雲ちゃん!冨岡さんも!」


店内にパァと明るく可愛い声が響く。そちらに顔を向けると、甘露路蜜璃と伊黒小芭内が店に入ってきた所だった。


「蜜璃さん、伊黒さん!こんにちは!お疲れ様です!」


美雲は席を立ち、お辞儀をした。冨岡はというと、2人の姿を見て箸は止めたが特に挨拶せず、無表情のままだ。


「いらっしゃい!あぁ〜、お客さん…いま席がいっぱいで…。」


入店してきた甘露路と伊黒に店主が少し遠慮がちに声をかけた。確かに店内は客が大勢おり、空いている席はなかった。店主の言葉を聞き、甘露路は分かりやすく肩を落としている。その姿を伊黒がどうしたものかとわたわたとしていた。


美雲はちらりと自分のテーブルを見た。いま使っているテーブル席は4人掛けだ。冨岡とは向かい合って座っており、それぞれの隣は空席だ。


「あの、宜しければここ使ってください。相席になっちゃいますけど…。いいですよね、冨岡さん。」


「あぁ。」


その言葉に甘露路は目を輝かせた。


「いいの??わぁ嬉しい!!ここのご飯食べてみたかったの!冨岡さんも美雲ちゃんもありがとう!!」


甘露路は嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。そしてさも当たり前かのように美雲の隣に座った。
それを見た伊黒はがっかりしたような表情を浮かべた後、冨岡の方をぎろりと睨んだ。


「甘露路とご飯に来たのに、何故冨岡と食べねばいけないのか。」


納得いかないと言いたげなその小言が美雲の耳に届く。伊黒の冨岡へ向ける睨みに背筋が冷えた。そんな睨みを向けられていることに冨岡は気付いていないのか涼しい顔のままだ。

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