第16章 読めない心
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縁側に冨岡が立っており、洗濯物を眺めていた。彼に話しかける。
「天気がいいのですぐ乾きますよ。羽織…長く使われてるんですか?所々縫い直してあるみたいだったので。」
「…ああ。」
会話は膨らむことなく途切れる。
(どんなものかは…聞かないほうがいいかな…。)
そう思い美雲はそれ以上は口を閉ざした。
「…夕方から任務に出る。それまでは自由に過ごしていい。」
そう言うと冨岡は自室へ歩いて行く。その背中を見送る。
拒否されている訳ではないが、必要以上に知り合うことを避けられている。会話は美雲の投げかけたものだけに返ってくるだけで、一方通行に感じる。
(やっぱり急に任務同行とか、屋敷で一緒に生活とか嫌だよなぁ…)
なんとか場を和ませようといつもより明るく振舞っていた自分が空回りしているようで虚しい。
(どうしたらいいのかなぁ)
1人になった縁側に足を下ろし腰をかける。足元を見つめ溜め息を漏らす。
変わらない居心地の悪さが美雲を押しつぶしそうだった。もやもやとする気持ちで洗濯物をボーッと眺めた。
青空にはためく洗濯物とは正反対の気分だった。