• テキストサイズ

【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第16章 読めない心



冨岡がすたすたと歩いていく。美雲は少し後ろを歩いていた。
無言が続く。気を利かせて何か声をかけた方がいいかと思ったが、騒がしい女と思われるのも嫌で、結局屋敷へ向かうまで無言だった。


「ここだ。」


冨岡が塀で囲われた屋敷の門前まできて足を止めた。美雲のことをちらりと見た後、門をくぐっていく。
小さく「…失礼します」と頭を下げながら後に続いた。屋敷は昔ながらの作りで、刀を振れるような庭がある。不死川邸と似たような感じだった。


いつのまにか屋敷の中に入っていた冨岡が玄関で立っている。無言でこちらを見ている。
(…早くついて来いってことかな)
美雲は小走りで玄関にいく。サササッと草履を脱ぐ。


「…部屋が余っている。そこを使うといい。こっちだ。」


美雲が草履を脱いだのを確認して、冨岡は屋敷の中を進み始めた。
屋敷の東側、廊下の突き当たりの部屋へ案内された。四畳半ほどの小さな部屋だったが、日当たりも良く、窓から陽が燦々と降り注ぐ。


「狭くて悪いがここしかない。辛抱してくれ。」


「いえ!!部屋まで当てがって下さってありがとうございます。私には勿体無いくらいです。」


美雲はにっこりと笑顔を見せた。その姿を冨岡は何も言わずに少し見つめた。そしてまた、"こっちだ"と言っているかのように廊下を進む。美雲は冨岡の後を追った。
稽古場、炊事場、浴室…順に屋敷内を案内してくれた。

/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp