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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第13章 募る



不死川は冨岡に背を向け、ズカズカと歩き出した。美雲は改めて冨岡に一礼すると不死川の後を走って追いかけていった。



不死川の少し後ろを歩く美雲。冨岡との遭遇後、明らかに不死川の機嫌が悪くなっている。どう声を掛けていいか分からず、沈黙が続いてしまう。



「…昔、冨岡に助けて貰ったんだなァ。"例の鬼"って何のことだァ?」


「あ、えっと…。」


どこから話していいのか迷っていると不死川がさらに口を開く。


「別に言いたくないなら言わなくていい。」


そう言ってそっぽを向く不死川。打ち解けていた関係がまた離れていくような感覚に美雲は寂しさを感じる。
少し前を歩く不死川を小走りで追いかける。


「言いたくないとかじゃなくてっ」


そう言いかけて、ふと見えた不死川の横顔に言葉を止める。いつもより、元気のない目、少し乱れた息づかい。美雲は手を伸ばした。



不死川の額に冷たい感触が来る。咄嗟に払うとそれはNAME1#の手だった。



「あ、ごめんなさい!…でも、熱があります。表情もしんどそうです…。体調が優れませんか?」
不死川を心配そうに見つめるNAME1#。


「…体調が悪いィ?鍛錬が足りなかったかァ?もっとしごいてやろうかァ?!」


普通の隊士だったら、ヒィィ!なんて声を上げて逃げて行くのに、NAME1#は違う。


「急いでお屋敷に戻りましょう。お送りします。」


「ひとりで帰れる。オメェの付き添いなんて邪魔なだけだァ。」


「まあまあ、今日だけですから。」


不死川がどんだけ凄んでも、美雲が引き下がることはなかった。
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