第12章 弟子入り志願
「…まだ動きが硬ェ。足の力が足りてねぇのと、振り抜きが甘いから気をつけろォ。」
ぶっきらぼうな言い方だったが、それは紛れもなく美雲への助言だった。少し驚いたが、不死川の優しさに思わず笑みがこぼれる。
「はいっ!ありがとございますっ!!」
美雲が勢いよく頭を下げると、不死川は背を向け片手をひらりと上げ、去って行った。
その後の任務も不死川と合同だった。
美雲が鬼を切り、任務後、不死川から助言を受ける。初めて不死川邸を訪ね、弟子入り志願をした時はきっぱりと断られたが、今はこうして任務を遂行しながら指導を受けさせてもらっている。
何がきっかけになったかは分からなかったが、不死川の面倒見の良さ、優しさをひしひしと感じるのであった。
「美雲は動く前にいちいち頭で考えすぎだァ。状況に合わせて勝手に動くくらい身体に経験を叩き込めェ!」
「はいっ!!」
毎度毎度任務で顔を合わせていると、嫌でも関係が打ち解けてくる。いまでは、美雲、不死川さんと呼び合うまでになった。
そして、任務後に不死川さんが組み手や竹刀での打ち合いも付き合ってくれる。口で言われた訳ではないが、それはほぼ弟子と言えるほどの関係だ。