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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第11章 再会




不死川が運んできた隊士の状態は酷いものだった。
朝から毒が回り、毒が回った足は蒼白で体温もない。呼吸で毒の回りを遅らせていたようだが下半身はほぼ機能していない。



足の静脈を切開する。ぼたぼたと血が処置室の床に落ちる。心臓は弱いながらに拍動を続けている。心臓は送り出す血液に毒は含まれていない。その血液を全身に巡らせ、汚染された血液は切開した血管から出す。



弱った身体には負担が大きいが、治療法はこれしかなかった。毒の排出は、心臓の弱い拍動つまりは彼女の生命力にかかっていた。



診察台からポタポタと血が垂れる中、えぐれた肩の処置を行う。洗浄し、血管、神経、腱をつなげる。後遺症が少なくなるように、なるべく細かく、丁寧に縫合した。頃合いを見計らって、切開した足の静脈を繋げる。
胡蝶は額の汗を拭った。彼女の心臓はなんとか処置が終わるまで動き続けた。



「…血圧の変動に注意して。肩の傷洗浄は私が行います。」



処置を手伝ってくれていたアオイに声をかける。はい、と歯切れのいい返事を確認し、処置室を後にした。

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