第1章 出逢い
「その服、血で汚れてもいいのか?
この生地からして高価なものだろう。」
『気にしないで下さい。』
その女はどこか寂しげな表情だった。
『あなた、一人なの?』
「…ああ。」
『私も一人。日本から逃げてきたの。』
逃げた…?
「何から…逃げて来たんだ?」
『色んなものから。人とか、社会とか…色々。』
「………。」
俺は何をしているんだ。
こんなジャポネーゼの、得体も知れない女と他愛もないするなんて。
しかもさっき会ったばかりの他人に、自分の身体に触れるを許している。
こんなこと、いつぶりだろうか。
ヒットマンチームの名が聞いて呆れるな。
「……っ」
『!…大丈夫?』
意識が朦朧とする。
メタリカで大量の出血を補えていたはずだが…今回は傷が深すぎたか。
『あの、私の家すぐそこだから…もし良かったら休んでいきませんか?…』
女がその小さな身体で、懸命に俺を立ち上がらせようとしている姿を見て俺はただ頷いた。
理由は分からないが、この女に対して警戒心と言うものをあまり感じなかった。そのがむしゃらに目の前の俺を助けようとする姿を見て、どこか安堵している自分さえいた。