第4章 氷のような瞳に熱を
「…話す必要あります?」
目線を合わせずに前だけ見て歩みを進める。
「同期の奴らが嫌いか?」
「…別に嫌いとかじゃないですよ。ただ必要な時以外話さないだけです。」
「そうか。だがこんなクソみてぇな世界だ。ある程度は同期の奴らと話しておけ。後悔しても戻らねぇからな。」
そう言って私に目を向ける兵長。
私は少しだけ目線を合わせ、フイっとそっぽを向く。
兵長の目は…苦手だ。
なんか奥底まで覗かれてるみたいで…
「…後悔なんてしませんよ。それに同期だって話しかけづらいと思います。」
まあ今まで深く接しようとしなかったから当たり前だけど。
「…今こうして俺と話してるように同期の奴らと話せばいいだろ。」
「…それは…貴方がしつこく話しかけて来るから…話してるだけで…」
浅くでいいのにそうさせてくれないから…
「…そうか。それでもお前はきちんと対応してくれるんだな。」
「っ…だからっ…それは____」
バッと兵長の方を見た時、言葉を失った。
だって、凄く優しい目と表情をしていたから。
「それは…何だ?」
「っ〜〜!知りませんっ…忘れましたっ」
捨て台詞を吐き再び目線を外し歩みを進める。
すると兵長はクッと小さく笑い声を零し言う。
「…可愛いな。」