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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第19章 夜はつめたく世界を統べる













信じたらあかんよ、真剣な顔で自分を信じるなと言ったお前だからこそ、やはりお前を信じたいと、思えたのに。気を失った雛森の手には、血が滲んでいて。そんな雛森に見向きもせず、いつものように微笑む市丸。誰がどう見ても、この状況は。


「藍染だけじゃ足りねぇか」


きっと、心の何処かで信じていた。いつの日からか市丸の中で何かが変わってしまってたとしても、その優しさは変わっていないと。


信じて、いたかった。


「雛森までこんな目に遭わせやがって…!血が滲むほど刀を握り締めなきゃならなくなるまで…こいつを追いつめやがって……!」


俺の知っている市丸は、俺の信じたかった市丸は、もういないのだと、思い知った。


「…はて、何のことやら」


殺気と共に霊圧が上がる。雛森のことを可愛がっていたのではなかったのか。鬼道を教えてくれと、ご飯を一緒に食べたいと、緊張しながら市丸に駆け寄っていた雛森の姿が脳裏をチラつく。そんな雛森を、愛おしいものを見るような目で受け入れていた市丸の姿がそこにはあった。嘘だったのか?雛森からの信頼と憧憬を裏切っても尚笑みを浮かべるお前は、一体何なんだ。何がしたいんだ。


「……言ったはずだぜ…雛森に血ィ流させたらいくらお前でも容赦しねェと」


刀の切っ先を、市丸に向ける。もう俺は、こいつを、信じられない。


「あかんなァ、…こないな所で刀抜かれたら、私が止めるしかないやないの」


にこりと笑みを深めた市丸が、刀を抜く。その切っ先を、躊躇なく俺に向けた。その瞬間。俺たちが共に過ごした時間が、記憶が、信頼が、---崩れ落ちてしまった。













俺の攻撃を軽々と避けながら、市丸が危ない危ないと笑う。その笑みが余計に苛立ちと殺意を煽るのだと、知っていてわざとやっているのだろう。苛立ちと比例して霊圧が高まる。


「……本気やね、」


「いくぜ!」


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