第15章 些か過去とは異なります故
昔の市丸愛美を思い出そうとするが、どうしても思い出せない。自分の知っている市丸愛美は、真央霊術院をたった1年で卒業し、卒業後すぐに五番隊第三席という高位席次に就いた天才。いつも人の良い微笑を浮かべ、比較的評判は良かった。いつも平子真子と一緒に歩いていたような気がする。掴み所のない平子真子があそこまで過保護になり、常に気にかけていた少女。……そして、藍染と共に行動する裏切り者だ。
「…あやつのことは儂もよく知らん。知りたいなら本人に聞け」
「本人に聞け、って言われてもなぁ……あの市丸愛美って奴、何か気味悪ィから出来ればもう会いたくねぇんだよ」
「…気味が悪いと感じるのに君はあの女性を何故知りたがるんだ、黒崎」
自分も疑問に思ったことを尋ねてくれた石田に感謝し、うんうんと唸る一護を横目で見る。
「…気味が悪ィから、知りてぇんだと思う。あいつさ……苦しそうな顔して笑ってただろ?」
「苦しそうな、顔……?」
「ああ。…みんなもそう思ったんじゃねーのか?」
決して冗談を言っているわけではないらしい。一護の言葉に、…井上だけが頷いた。
「…黒崎と井上さんには、あの微笑が不気味に見えなかった……!?」
「違うよ石田君、えっと…確かに少し怖いなぁって思ったけど……。でも、なんだろう、うまく言えないけど…きっと、もっと綺麗に笑える人なんだと思う」
初対面であるはずなのに、あの笑みを見た瞬間、"違う"と思ったのだと織姫と一護は言う。だから不気味なのだと。心底愉しそうに笑うくせに、目だけは真逆だったから、不気味なのだと。気味が悪いのだと。
「……………取りあえず市丸のことは置いておけ。今はまず瀞霊廷に潜入することが先決じゃ」
「ああ!」
一護と井上の言うことが正しいのか、それとも、自分と石田のように感じたことが正しいのか。それは確かめようのないことだが、いつか解ればいいと、捨て置いた。
―――その判断を、後悔する日が来るとも知らずに。
些か過去とは異なります故
(混乱せぬよう、お気をつけ下さい)
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チャド空気ー(^o^)☆
市丸成代さんの微笑ネタ多くてすみません。微笑に対して感じることは人それぞれです。単に不気味だと感じる人もいれば、そうでない人もいます。