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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第4章 この胸の中は暴かないで














「イヅル、困ってんかなぁ」


私の姿を探し回る彼が容易に想像できてしまい、一人静かに微笑する。今日の仕事は一応全部終わらせたんだもん、休憩(という名の脱走)したって別にいいよね。


「どうしましょ。白哉クンの所はさっき行ってみたらいはらんかったし、日番谷クンに怒られるやろから乱菊んとこも行かれんし、砕蜂チャンは今任務中やろし、……涅はんとこでも行きましょか」


彼はからかうと面白いんだよね。彼の性格はとっても好きだよ。解剖云々はおいておいて、何者にも流されない芯の強さとか、自分の欲のまま、本能のままに動くところとか。何だかんだいっていつも私に弄られてくれる可愛い人だ。


「よォ市丸」


「あら、更木クンやないの。十一番隊長サンともあろう御方がこんなところで何しにウロウロと……どうしたん?」


「ハッ…テメェが言えた義理かよ? 三番隊隊長さんよ。お前どうせ暇なんだろ。ちょっと付き合ってくれや」


ニヤリと笑う更木クンにニコリと微笑む。それはつまり肯定の意であって、それに気付いた更木クンは行くぞと言って私を先導した。隣に並ぶと、意外にも私に歩幅を合わせてくれる。


「優しいんやね」


「…、意味解んねーこと言ってんじゃねえよ」


憎まれ口を叩きながらなお私に歩幅を合わせてくれている更木クンの優しさに頬が緩んでしまう。白哉クンと更木クンがお互いに嫌い合ってる理由が分かった、不器用だけど心底優しい………所謂似た者同士だからだろうね。


「俺と闘ろうぜ」


十一番隊舎の中にある稽古場で、彼は何ともあくどい笑みを浮かべてそう言った。


「やっぱそうきはります?んー、私は別にええんやけど…斬魄刀で? それとも竹刀?」


「斬魄刀じゃねえとつまんねェだろうよ」


「……私の斬魄刀の能力やと建物全部壊してまうかもしれんのやけど…。ま、卍解さえせぇへんかったらええ話か。ええよ、やろか」


脇差しほどの長さの神鎗を鞘から抜き構えると、更木クンもボロボロになっている斬魄刀を構える。霊圧を少し上げて、勢いよく地を蹴った。





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