第7章 秘密の悩み
(こんなに不安そうな顔……)
いつも凛と迷いも悩みも見せず、
強そうな瑠璃の心許なそうな弱い顔。
思わずなんとかしてやりたい気持ちになった。
けれど家康は
「駄目、そんなんで弓引いても腕叩くのが関の山だ」
最もな意見だけを突き付けた。
「何があったかは知らないけど、ここに居ても意味ない感じ。もう帰りなよ。」
(君の弱い顔は見たくない…見てたら…)
「送って行かなくて大丈夫だよね」
(慰めにかこつけて…抱き…しめて……)
家康はその先の考えを振り払う為、
拳にキュッと力を込めた。
「…はい…」
「うん、好し」
渋々だけど瑠璃が返事をすると、
家康が頷いて翠の瞳が優しく微笑んだようだった。