第7章 秘密の悩み
次の日も次の日も考えた。
「瑠璃?ボーッと突っ立ってどうしたの。………瑠璃?」
「………」
「瑠璃っ」
間近で声をかけられて、ハッと気付いた。
「…あ、家康様…」
いつの間にか俯いていた顔を上げて見れば、
人ひとり通れない近距離に家康が立っている。
瑠璃は入ってきたことも気付かなかった。
「どうしたの?何かあった?いつからそうしてたの」
家康が心配そうに尋ねるが…
「……」
「…はぁ…瑠璃っ。全く上の空だね。
弓、離して。もう帰りな」
集中しようと弓術場に来たけれど、
集中どころか、悩みに捉われすぎて何もできなかった。
弓を取り上げられ、背中を押され、道場から押し出された。
「家康様…」