第13章 ケイオス
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「あれデクくん?」
何も言わず騎馬を降りたかと思えば、そのまま思いつめた様子で俯く緑谷。そんな彼の肩を叩けばあまりにも弱々しく泣きそうな顔でいる彼。
『緑谷くん?』
「あの、本当ごめん…」
『もう…ほら見て』
「…え?」
まるでどうってことない顔をしてる私たちに困惑し、私が指さす方向を見ればそこには常闇とダークシャドウが。
「…一千万をとるのが本意だったろうが、そううまくは行かないな」
「…ッ!?」
「それでも一本、警戒が薄くなっていた頭の方をいただいておいた。麗日、希里、そして緑谷。お前らが追い込み生み出した轟の隙だ」
ダークシャドウが誇らしげに轟からいつの間にか奪っていたハチマキを見せつければ、今度こそ膝をつき感動で滝のような涙を流し始めた緑谷。
『もう、ヒヤヒヤしたよ』
「やったねデクくん!」
ギリギリ第4位に滑り込んだ私たちチームは、なんとか最終種目への切符を手に入れた。