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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第13章 ケイオス



歪む視界と頭痛の中なんとか轟たちの位置へと集中すれば、そのまま麗日が個性を使ったのを確認する。

体を奮い立たせ足に力を入れ、掛け声と共に一気にみんなを飛ばす。

『行けェ!』

突如現れた私たちに驚きを隠せず、すぐさま防御体制にはいる轟。

個性を使っているであろう緑谷の右手は全てを吹き飛ばしそうな勢いで彼へと伸びて行き、その風圧に思わず体がよろめきそうになる。

(えっ?)

すると今度は、突然轟から現れる赤いなにか。

(あれは、…炎?)

一瞬見えたものに困惑していれば、緑谷によって彼の左手と炎が振り払われる。体勢を崩しうろたえる轟に再び緑谷が右手を伸ばせば、首にかかっていたハチマキを即座に掴みとった。

「とったああああ!」

『よしっ…って、緑谷くんそのハチマキ!!』

「え、あれ!?」

緑谷が視線を落とした先には、決死の思いでなんとか取り返したはずのハチマキに70と描かれている。どうやら違うハチマキをとってしまった緑谷に、ホッとしたのも束の間再び焦りと緊張が皆を襲う。

『もう一回飛ぶよ!!』

「希里さん!?」

『残り10秒、いける!!!』

焦る緑谷の声を無視し、全身に力を入れる。もうすでに吐き気と頭痛でまともに前が見えないが、なんとか視界の端に捉えた轟たちに全意識を集中させる。

『オラァ!!!』

自分を奮い立たせるために叫べば、できるだけ轟の近くへと私たちを飛ばす。

しかし演算が甘かったか微妙にずれてしまった着地地点。それでもなんとか距離を詰めように足を動かせば、緑谷は再び右手を振るう。

「常闇くん!!!」

「ああ!!」

そのまま畳み掛けるようにダークシャドウが攻撃を仕掛けるも、即座に上鳴の放電があたりを包めば思うように手がだせなくなる。

「半分野郎ッ!!!!」

すると今度は氷の壁を叩き割り乱入してきた爆豪の声が響き、身構える轟。

(あと少し!あと少しで––––)

皆それぞれ轟を目指し手を伸ばす。

しかし、

「タァイムアーーーップ!!!」

あと少しの所でマイク先生の声が会場に響き渡る。

「そんな…」

伸ばされた緑谷の手は行き場を失い、そのまま悔しそうに顔を歪めた。

(くそ、だめだったか……ってあれ?)

同じく悔しさで拳を握って入れば、途端に何かに気づいた私は思わず笑みを浮かべた。
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