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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第3章 リスタート



「早速だがこれきてグラウンドにでろ。」

全く状況についていけず困惑する生徒をよそに、相澤はそのまま御構い無しに説明を続ける。

「体操着は奥の各自ボックスに入っている。更衣室はここの廊下を曲がったとこ。時間は有限、合理的に頼む」

「「「はあ…」」」

あっけにとられた緑谷は、じゃあ、と教室をあとにする相澤を見送ると、急にわたわたと慌て始めたクラスメイトたちに混じり自分の机へと急いだ。

(っとりあえずカバンを机において、そ、それで…!)

「ねえグラウンドってなにするんだろ!?」

「式は?!ガイダンスは!?」

「とりあえず今は相澤先生の言う通りにしましょう」

慌てて各々自分の体操着を取り出すみんなに、つい自分まで焦りええっとええっと、と視線を泳がす。

(あ、っと僕の体操着は…ど、どれだ!)

挙動不審に左右を見渡していると突然

「緑谷くん。どうぞ」

と横から落ち着いた声の人が体操着の入ったボックスを手渡してきた。

「え!?ぼ、ぼく!?」

『出席番号、…18番だよね。だったらこれであってると思うけど』

「え、あり、ありがとう!」

麗日さんに続いて本日二人目の女子に声をかけられたことに動揺し、声が裏がえる。

『あ、突然ごめん。自己紹介もしてないのに変か』

「そ、そんなことは…」

『希里トバリ。隣の席です。よろしくね』

と、希里トバリと名乗る彼女がこちらに握手を求め手を伸ばした。

「あ、っと、緑谷出久です!!」

『うん、さっき飯田って人と話してるのを聞いたよ。…すごく顔が赤いけど、大丈夫?熱?』

「は、はひ!なんでもない、大丈夫だよ!」

自分で言うのもなんだが正直こればかりは無理もない。

希里と名乗った彼女は先ほどの可愛らしい麗日さんとはまた違い、スラッとした大人びた雰囲気の美形だった。横に長い大きな瞳と小さな唇、そして妙に落ち着いた表情のせいでどこか艶っぽい空気を醸し出していた。

『そう?…じゃあ行こうか。』

そういうと彼女は自分のボックスを手に数歩前に歩き出した。しかし硬直して状況整理している僕に気がつくと足を止め、不思議そうな表情で首をかしげ、来ないの?と尋ねる。まるで飼い主を待つ猫のような彼女にまた、ドクドクとうるさく胸が鳴った。

「ごごめん今いくよ!」

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