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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第16章 グラビティ



『お茶子』

「トバリちゃん?と、デクくんまで」

着々と短期決戦で終わっていく試合に、第7回戦目で白熱の試合を繰り広げる切島とB組の鉄晢。その合間に緑谷と一緒に控え室に降り見に来れば、緊張した面持ちの麗日とちょうど帰って来た飯田がいた。

「どうしたの?みんなの試合見なくていいの?」

『今ちょうど切島くんとB組の人が長期戦になって、長引いてるところ』

「そっか…じゃあもうすぐ次…」

『お茶子…』

そのまま自分の手元に視線を落とし、考え込む麗日。全く麗かではない雰囲気の彼女を、なんとか励まそうと飯田が口を開く。

「しかし、まあ、さすがに爆豪くんも女性相手に全力で爆発は…」

「するね」

『するのか』

「ウッ…」

そういえば、と緑谷と爆豪が幼なじみだったことを思い出す。そうしてその緑谷が言い切れば、さすがにうろたえてしまう麗日。

彼女の緊張がこちらまで伝わってくれば、急激に張り詰める空気。

「…僕は麗日さんたちにたくさん助けられた…だから少しでも助けになればと思って麗日さんの個性でかっちゃんに対抗する策、つけ焼けばだけど考えて来た」

重い空気の中緑谷がそういえば、さっきまで書き殴っていたひどくボロボロなノートを掲げる。

『いつのまにそんな…』

「おお、麗日くん、やったじゃないか」

「…ありがとうデクくん」

それを聞いた麗日は小さなえみを浮かべ顔をあげる。

「でも、いい」

「えっ…」

『…』

「デクくんや、トバリちゃん達はすごい…どんどんすごいトコ見えてくる。騎馬戦の時仲良い人と組んだ方がやりやすいって思ってたけど。今思えばデクくんに頼ろうとしてたんだと思う。トバリちゃんも自分が今その時できることがはっきり見えていて、それでいて常に自分の限界を越えようとしてる…飯田くんがデクくんやトバリちゃんに挑戦するって言ってて本当ちょっとはずかしくなった」

「麗日さん…」

「だから、いい」

麗日がそう言いながら立ち上がれば、わたしたちの元へと歩む。
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