第1章 夜 道
美「…なにかまずいこと言いましたか、?」
大「いや、いい。別に大丈夫…」
悪気ないんだろうな…
むしろ嘘ついたりしないのか。素直なのか生き方下手なのかなんなのか。
生まれた頃から親戚中の期待を背負って生きてきた俺とは違う。
それが幸せか、不幸せか、と聞かれても まだ答えが出ていない、
努力する大事さを教えてくれたのはジャニーズだった。諦めない強さを教えてくれたのはメンバーだった。
……幸せだったのかもしれない。けどそれもまた曖昧で。
現に帰る家がないという彼女を見ても 可哀想 と思えない自分がいる。
美「でもジャニーズなんですね。わざわざリスク犯してまで、私を家の中に入れてくれたってことですよね…。大我さんて、優しいんですね」
大「…、」
違う、さっきまであんなに酷いこと考えてたのに優しい訳がない。
きっと人に優しくした自分に酔っていただけで、あの時見捨ててたって良心なんか痛まなかった。
大「…違う、そんなんじゃなくて、」
美「そうやって自分ばかり責めるのも、優しい証拠ですよね」
大「…え」
美「明日には出ていきます。今日だけここに置いてください」
彼女は21歳なんかじゃない。
俺なんかとは比べものにならないくらい大人で、拾ったと思った猫は持ち帰った瞬間に、人に姿を変えた。
.