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あなただけを…

第15章 ➖本当は優しい君…➖


=オクタヴィネル寮・フロイドの部屋=

見覚えのある寮部屋へと引き込まれ
ベット上へと投げ出され
そのまま彼が覆い被さる…

「なぁオレさぁ……
 サラに本気って言ったよねぇ?
 …忘れた?」

先程と変わらぬ表情と声で問い詰められる

『忘れてない…覚えてる』

「はぁ…ならなんでアズールを見守るなんて
 …んな事言ったワケ?」

『…そうする事しか出来ないから…』

「…ワケわかんねぇ…
 アズールにちゃんと気持ち伝えろよ
 そうしなきゃ進まねーじゃん」

『でも…そんな事…』

「あぁ…イライラする…黙ってろよ…」

煮え切らない私の態度に
苛立ちをぶつける様に噛み付く様なキス
ただ乱暴なワケではなく…
“オレを見ろ“
そんな気持ちも込められているのか…
深く求められる…強くて甘いキス…

『んぁ…っ…や…ぁ…』

逃げようとする度に舌を絡み取られる
その度に痛い程気持ちが伝わってくる
呼吸も心も苦しくなる……涙が溢れる

『もう…んん…や…っ…』

「っ…はぁ…ヤダ、やめない…
 ねぇ… サラ?オレを見てよ」

泣きそうな表情を見せた後
また唇を重ね合わせてくる
彼が飽きるまで口腔内を侵され
彼から“好き“という気持ちが
イヤと言う程侵食してくる…
上がりきった息による喘ぎと
呼吸音が部屋に響く…

『ん…っ…はっ…はぁ…』

「っ…はぁ…なんでオレじゃダメなの…」

胸を締め付けられる様な悲しげな彼の声
息を整え、彼の問いに答える…

『なんでだろうね…
 初めからあの子に惹かれてて
 諦めようとしたんだけど
 あの子じゃなきゃダメ…
 初めてそう思えたんだよ…』

「オレだって!オレだって同じ
 サラじゃなきゃ…っ…
 …なーんてね?…飽きた……」

私の上から退き
背を向けるフロイド…
密かに肩が震えていたのを見逃さなかった…

「アハっ…っ…オレ…ちょーカッコわる…
 ごめんねぇ… サラ…出てって?」

微かに震える彼の声と君の優しい嘘…
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