第61章 ➖突然の…➖
アズールが一度優しく微笑み
いつもの調子を取り戻す
「ふっ…優しすぎますよサラ。
一応ココでは、あなたよりも先輩です!
えぇ、わかっていますよ。
あなたが僕を心配してそう言ったこともね?
大丈夫ですよ!心配には及びません。
今まで通りの僕を演じきってみせますから」
グイッと眼鏡をあげる仕草をするが
今のアズールはソレを掛けておらず
思わず笑い出してしまった…
『ははっ…もう!折角決めたのにね。
アズール…あなた可愛すぎでしょう』
私はそのまま笑い続け
薄らと涙を浮かべていた…
「あぁ〜…もう!僕としたことが…
そんなに笑わなくてもいいじゃないですか
…癖なんですよ…」
少しムッとした表情を浮かべるアズール
そんな彼が愛おしくて堪らなかった…
私は深呼吸を数回して呼吸を整える
『あまりにも可愛くてね…ふふっ。
はぁ、お腹痛い…。ごめんね?
そうよね、今のあなたは昔とは違う…
ねぇ、私と契約して本当に後悔しない?』
「僕とこんな関係になっておきながら
あなたも狡い人ですね…幼気な僕を騙して…
身体まであなたの物にされたと言うのに…
なんて、冗談です。
あれから様々な方と契約を結んで
騙してきた…ンンッ…ッ…失礼。
学んできましたからね。
それなりに目は養えましたよ。
そんな僕が選んだのだから間違いなんて…
あり得ませんよサラ」
目を閉じて近付いてくる彼を受け入れ
触れるだけの口付けを交わすと…
そのまま彼の腕の中で抱きしめられていた
「後悔なんてする訳ないでしょう…
あなたをずっと待っていたんですからね。
サラ…あなたにも後悔はさせません」
アズールの決意に満ちた瞳…
それ以上は何も言えなくなり
私も意志を固めた
『本気なのね。わかったわ。
アズールと契約しましょう。
ただね…とりあえずお風呂にどーぞ。
落ち着いてから契約しても遅くないでしょ』
「それもそうですね…。
落ち着いてから契約をするとしましょうか…
少し待っていて下さいね」
そう言うとバスルームへと消えるアズール
その間に
魔法でリネン交換と
ベッドメーキングを済ませ
ブレスレットを眺めながら
今までの事を振り返り
彼の帰りを待つ事にした…