第56章 ➖よく知るあなた➖
「お2人共?
水を差すようで申し訳ありませんが…
皆さんいらっしゃいますよ?」
その声にハッとし
起き上がる私とアズール
「フフッ…なんとかブロットの暴走は
治まったようですね…よかった…」
「…ったく、手こずらせやがったのに…。
イチャつきやがってよ、なんなんだ…」
「いやいや
レオナさんはそれ言っちゃダメっしょ…
あの雰囲気はウザイけど…」
「僕は……一体、なにを?」
「魔法の使い過ぎで
オーバブロットしてしまったんです…
覚えていませんか?」
「僕に力をくださいよぉ〜〜
って泣きながらみんなの魔法吸い上げてさぁ
…ちょ〜ダサかった、ちょっとゲンメツ」
「サラも、僕のその姿見たんですか…?」
『見てたわよ?それにねぇ…
正気に戻す為にみんなと戦ったよ?』
先程のジェイドの言葉で今の状況を思い出し
涙は止まっていた
そのまま彼等と普通に会話を続けた…
「そ、そんな……僕が暴走するなんて……
信じられない……」
「ま、コツコツ集めてきたモンを台無しに
されたらそりゃ怒るッスよね」
『あぁ…それで契約解けたのね……』
「悪徳商法はダメなんだゾ!反省しろ!」
「その前に…
楽しようとしたお前たちも反省しろ!」
「あの対策ノートは、他の誰にも作れない…」
ユウの声が響く…
「……え?」
「そうそう。一夜漬けしただけで
90点以上取れちゃったし」
「あぁ、まさに虎の巻、だったな」
「100年分のテスト出題傾向を分析して
作ったもんだと学園長から聞いた…
が、汚ねぇやり口だったもんは
気にくわねぇ…」
「…フン……そんな慰め…
嬉しくもなんともありませんよ」
そう言ってのける彼をじっと見つめた
少し涙を浮かべているのがわかった
『ふふ…よかったねアズール。
あなたの努力に気付いてもらえたよ…』
彼にだけ聞こえるように囁いた
その後も彼らとの会話は続き
双子がアズールを言葉でチクチクと攻撃したり
写真を持ち帰った彼らに
昔のアズールの姿がバレてしまって
大騒ぎしたりしていた
(よかったね。
こんなにもたくさんの人に恵まれて…
もう1人じゃないよ…アズール…)
彼等を遠くから眺め
微笑みながらそんな事を思っていた…