第56章 ➖よく知るあなた➖
「……ハッ……」
「あ、目ぇ覚ました」
「アズール、この指は何本に見えますか?」
「8……本?」
「うん、まだ気が動転している様ですが…
では…この方はわかりますか?」
ジェイドが私を指差し
寝惚け眼の彼と目が合う
「あぁ… サラ…ただいま」
そう言い昔のように…
優しい笑みを浮かべるアズール
ずっと恋しくて…会いたかった…
私がよく知るあなたの笑顔
『ははっ…やっと思い出してくれたね?
アズール…おかえりなさい』
涙を流しながら精一杯の笑顔を彼に向け
横になっているアズールを抱き締めた
「今度は僕が待たせてしまいましたねサラ
それにこんなに泣いて…僕のせいですね…」
『っ…待ってたよ…ずっと会いたくて…
アズール…もう忘れないでね?…お願い』
そう言って啜り泣く私
「ははっ…今のあなたはまるで昔の僕ですね」
昔の彼にしたように
私の頭を撫でるアズール
すると…私達に声を掛けてきた人物の言葉で
今の状況を思い出す