第56章 ➖よく知るあなた➖
『アズール…アズール…』
直ぐに倒れた彼の元へと走り込み
彼の近くへと座り
呼吸を確かめる
(息はしてる……大丈夫…)
安堵から涙が出そうになるのをグッと堪える
『癒しの雫[ヒーリング・ドロップス]』
倒れている彼の胸に置き
体内へと溶け込んでいく雫
「お前…やっぱりあの時俺らに…」
『あぁ…。
レオナ…戦ってくれてありがとう。
そうよ、チェカくんに預けたのは私よ』
「シッシッシッ…アレちょー効いたッスよ?
ユニーク魔法だったんッスね」
『そうよ。ラギー、レオナ…ごめんね…。
今度詳しく話すから今は…』
一瞬彼等を見るが
直ぐにアズールへと視線を戻す
今の私に会話をする余裕などなく
彼等にそう告げる
それから…
ずっと彼から目を離さなかった
いや、離せなかった…
大丈夫。そう頭の中では理解できていても
それを上回る程の不安が押し寄せていたから
本当に彼の目が覚めるまでは不安で…