第32章 ➖大切なもの➖
−パチン−
アズールを風の魔法で吹き飛ばす
尻もちをつきながら君が口を開く
「なっ!?…あなた…なんなんです?
寮長である私になんて事を……
自分の状況がわかっているんですか?」
『寮長だか何だか知りませんけどねぇ
この状況に納得がいかないなら…
反撃して下さい。出来るならですけどね?』
−パチン−
蔦を使い尻もちをついていた彼を
無理矢理立たせる
「!?…どうなっても知りませんからね…」
汚れた箇所を払い
ステッキを構えるアズール
『ふふっ…お先にどーぞ?寮長さん?』
「ハハッ…吠え面かかないでくださいよ?」
−パチン、パチン−
親指に中指、人差し指と使い
連続して指を鳴らし
攻撃を避け…すかさず攻撃を仕掛ける
何度攻撃を仕掛けられても
彼の攻撃が私に当たる事はなく
それでも私の隙を突きたい彼が
諦めずに攻撃を仕掛ける…
この繰り返しが暫く続いた
「はっ…はぁ…あなたは本当に何者なんだ…
ハハッ…それにいい性格してますよねぇ…」
『息を上げてどうなさいました?
まだ嫌味を言える余裕はありそうですねぇ…
フフッ。お遊びは止めにして
そろそろ本気を出して下さいよ…
まだ、準備運動でしょう?』
「は?準備運動?お前は何を言って……
どうやら…本気の様ですね……。
はぁ…残念ながらもう僕は本気ですよ」
『あら…そうでしたの?
寮長って大した事ないんですね。
次にこんな危険な契約したら
寮長の座を私が貰い受けますね?
慈愛も慈悲もあなたよりは深いですから…
お忘れなき様に……お願いしますね?
それか…ご自身の力を高めるかですね。
まぁ…約束は守って下さいね?ハハハハッ』
そう言い狂気じみた笑みを彼へと向ける
「…っ…わ、わかりました…」
『あ!暫くあなたの顔見たくありませんので…
今の君なんて私……”大っ嫌い”です。
家族の元へ帰りますので寮へは帰りません。
無理に連れ戻したり、会いにきた場合も…
先程言った通りですからね?
寮長の座を奪いに参りますので……
お楽しみに?それではごきげよう寮長』
指を鳴らしその場から去っていった