第32章 ➖大切なもの➖
人気のない場所へと移動すると
彼に名前を呼ばれる…
「サラさん…僕に話とは?」
『フフッ…2人だと名前を呼んで下さるのね。
嬉しいわ…。なんてね。残念ながら…
この間の可愛らしい私にはなれませんよ。
さて、本題に入らせて頂きますが…
先程の出来事…あなたはご存知だったの
でしょう?』
「それは残念ですね…少し期待していたのに。
先程の出来事…何のことでしょうね…?」
『心にも無いことをベラベラと……
君の嘘を見抜けない程バカじゃないわよ。
裏も取れてる。3人で行進前に話してた
内容をちゃんと聞いてましたからね…』
「フッ…そうですか…あなたも人が悪い。
そうですよ?僕が彼らと契約し、
手を貸しました…認めましょう」
『そうですか…魔法薬まで渡して手厚い
サービスですねぇ…流石は寮長です。
なにが起こるかわかった上で手を貸した
コレで間違いありませんか?』
「あなたはそこまで知って…
えぇ、あなたの言う通りです。
知ってて手を貸しましたがそれが?」
この一言で感情が溢れ出し声が震える…
『…はぁ…。アズール…お前は私の家族を…
…傷付けるところだったのよ…それに…
下手したら死んでたかも…しれない…』
「はっ?お前だなんて失礼な…
それよりも…家族?なんの事です?
それに、あんな事で死人が出るわけない
じゃないですか」
『ハハッ…ふざけるな!!
人ってのは簡単に死ぬんだよ!!
人だって…人魚だって…いいえ。
種族なんて関係ないんだよ…。簡単にさ
死ぬんだよ… 死んじゃうんだよ…』
両親を思い出し…
涙が溢れてきた……
『死んだらさぁ…会いたくても会えないんだよ
どんなに願っても…泣き叫んでも…
帰ってこないんだよ…なのに君は…君は…』
「……大袈裟な人だ。
現に、その様な事故起きてないじゃ……」