第28章 ∇この感情は…∇ アズール視点
=空き教室=
視界が晴れ辺りを見渡す
「ココはいったい……」
そう僕が口にすると彼女と目が合った…
彼女の上に馬乗りになっている他寮生
その人物に襲われたのか
胸が露わになり
涙を流している彼女
その彼女が助けを求めてきた
声が震え弱々しい彼女…
その光景を目の当たりにし
僕の中で何かがキレた
寮長として寮生を傷つけられた物か
それとも別の感情が湧き上がった物か
そんな判別も出来ぬ程に怒りが込み上げた…
襲っていた寮生を追い払い
彼女の近くへ歩み寄り
手当てをしようと側へ座ると
未だに震える手を僕へと差し出してきた…
だが、僕と目が合うと
今朝も僕に見せた悲痛な表情を浮かべる
その表情を見てあの感情が押し寄せる…
彼女の手を取り
引き寄せると
そっと抱き締め
口付けをしていた…
自分でも何故あの時
あんな行動に出たかは
理解出来ていない
頭よりも体が先に動くなんて
そんな経験無かったのだから…
その後の僕の行動も理解し難い…
彼女に求められるまま体を重ねた
いや…僕も望んでいたのかもしれない
男なのだから興味が無かった訳ではない行為
理由はそれだけでは無い様な気もしたが…
普段見せない様な彼女の声、表情、反応
全てが僕を昂らせ、理性を失いそうになる。
本能の波に呑まれぬように必死に耐えていた
それなのに…
それ以上に彼女という波は高く
平気で僕を呑み込んでいった…
快楽だけでは無い
何か別の物も一緒に
熱を吐き出しそうになる一瞬
理性を取り戻し
彼女の中から去ろうとしたが
ソレを許されず
そのまま中へと欲を吐き出す…
彼女にそうされなくても
そのまま僕は
抜け出せずにいたかもしれないが…
この時の僕達は
ただ混乱していただけだ
そして求めてしまった…
それ以上の感情なんて無い。
情事の後に彼女は僕を突き飛ばし
慌てて制服を着て飛び出して行った…
先程まで彼女の居た所へ目を向ける
すると…
髪留めが落ちていた
それを拾い見つめ彼女を想う
(サラさん…
僕はあなたに何を望んでいるんでしょうね…
あなたと僕は……)