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ケルピー先生【短編集/BL/R18/twst】

第2章 ケルピー先生の小遣い稼ぎ【クルーウェル先生】


占星術、それは古代から続く天体観測。
星の巡りを見て運勢を占ったり、明日の天気や運命までも読み解く実に美しき学問である。
発展した国によって考え方の違いや読み解き方の差異などもあるが、それもまた占星術の奥深さと言えよう。
今最も身近に占星術を感じられる代物はタロットカードだろうか。

「今日は学園長の機嫌がいいから吹っ掛けても怒られない日とみた」
「……フォーンス。タロットを広げるのは良いが準備室を散らかすな。というかタロット占いをするなら自室でやれ。天体観測室がお前の研究室だろう」

魔法薬学の薬品が並べられた準備室でご機嫌にタロットカードを広げていると、クルーウェルが呆れたように指示棒でタロットを弾いた。
今はクルーウェルが次の授業の準備をしているようなので勝手に押しかけたのだが、彼からすれば心底迷惑なのだろう。
当然、迷惑だと分かって勝手にお邪魔させてもらっているのだが。

「そうケチケチするな、クルーウェル。私はただ"在庫"の確認に来ただけだ」
「なんだ。何か欲しい素材があるのか。最初からそう言え」

教材をそろえていたクルーウェルが呆れたようにこちらを見た。
魔法薬学の準備室に置かれている素材の管理はクルーウェルに一任されている。
もし欲しい素材があれば彼に言えば良いのだが、今日はあくまで確認だ。

「別に今すぐ欲しいものではないのだが、ケルピーの角はあと何本ある?」
「随分希少なものを要求するな。今はあと二本ある。二年前に学園長が補充した記録から補充記録はないからな」
「ほぉ」

私の微妙な反応にクルーウェルが首を傾げた。
ケルピーから採取できるたてがみ、馬尾素、角はそもそも希少な素材でありナイトレイブンカレッジをもってしても収集は容易ではない。
授業でも、とても大事に消費される。

特にケルピーの角は茨の谷と直接交渉しなければ入手困難な代物だ。
二年前に補充できただけ素晴らしい成果と言えよう。
二本しかないのなら溜めた甲斐がある。

「どうもありがとう。学園長に相談してみるよ」
「ああ。俺も掛け合うつもりだった」
「ん?何に使うんだ?」
「個人的にケルピーの角が欲しくてな。備品とは別に購入できないか相談するつもりだ。そういうお前は何に使うつもりだ」
「あっはっは」

軽く質問に対して笑顔で流し、そっと頭上を見上げた。
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