第3章 サキの術・少年時代1
サキ サイド
「え、待ってサキ…」
そう唐突にいうかかしを見つめる_____
かかしにはきっと私の助けが必要なんだろうな。
そう理解した。
「かかし、うちに上がっていきなよ」
かかしは動揺しながらも、無言で素直についてきた。
部屋に上がったあと、かかしはソファに座る。
その隣にズイっと遠慮なく私も座る。
「なんか、サキ、近くない?」
困惑するかかしをよそに、私はかかしの肩に左手を回し、右手はその大きな左胸の渦巻く漆黒の中心に右手を当てる。
「さき?ちょっと、ちょっと待って、何?」
そりゃ、大人の男女2人、しかも私は酔っ払い。
家に上がれって誘ったのも私。
で、なぜか私がかかしの肩を抱いている。
ムードもくそもないけど、この状況はかかしにとったら何がなんだかって、どうしていいのかわからないのも当たり前か。
「ふふっ」
にやりと笑う私にかかしはさらに焦る。
2人の顔と顔の距離が30cmも満たない中、じっと見つめる。
「かかし。私がちょっとだけ…助けてあげる」
「!?」