第1章 真っ黒
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「あー久々に飲んだ…いや飲みすぎた…」
ほてった体に夜風が心地いい。
飲み終わって、友と別れ、また一人軽く飲みなおしながら火影岩のそばで夜景を見ながらぼんやりと里を見下ろす。
家に帰るのがなんだかもったいないと思って、こうして一人平和な里を眺める。
フワフワといい気持ちだ。
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少し離れたとこに、なんとなく気配を感じたので左側を見てみると、私のことを物珍しそうに見る一人の男がいた。
てゆーか、こんな時間にここに来る奴なんていたんだ。
銀髪が零れ落ちる月灯りにてらされ、そよそよと夜風になびいている。
あれ?なんだかきれいだななんて思っていたら、その人が話しかけてきた。
「こんな時間に、こんなとこで一人飲み?」
おおきなお世話だ。
こういう日だって誰だってあるんだから。
「いいの。今日はこういう気分なんだからさ。そーいうあなたもこんな時間に、ここで一人散歩でも?」
「まぁね…そんなところ」