第28章 巡り会い
「来実は何処に行ったのだ」
佐助を睨みながら謙信は問う
「申し訳ありません謙信様」
佐助は苦い顔を浮かべている
「謙信様、来実を連れていった
子供達はどうします?」
「…逃がしておけ
来実はその子供達を助けたのだろう」
「こんな時まで子供の心配かよ
ホントあいつお人好しですよね」
そんな所も好きになってしまった謙信
にとっては反論も返す言葉もない
すると信玄がバタバタと部屋に入ってきた
後ろには義元がいる
「今三ツ者から入った情報だ
どうやら謀神の仕業らしい」
「謀神…」
ぴくりと耳をかす
「…毛利元就か」
幸村の顔も険しくなる
「船か、丁度良い彼奴もいるからな
来実を攫った罪は死んで償ってもらおう」
刀の柄に手をかけ
今にも通りかかる人全てを
斬り刻まみそうな殺気を放つ